チタンを利用して部品加工をする場合、自社と外注のどちらにせよ、まずはチタンについて正しい知識を身に着けておく必要があります。このページでは、チタンの特性や加工方法、メリット・デメリットなどを紹介しているため、ぜひチェックしてみてください。
元素記号「Ti」、原子番号「22」で表されるチタンは、周期表第4族に属するチタン族元素の一種です。チタンの始まりとされる金属元素が発見されたのは1790年のイギリスで、それから120年後の1910年に純度99.9%のチタンの抽出に成功。日常生活において身近な金属である鉄やアルミ、銅などは4,000~6,000年前から使用されているため、チタンは比較的新しい金属といえるでしょう。
そんなチタンは、先端技術に必要不可欠な実用金属であり、生活用品から各種プラント設備、宇宙・航空機用材料にいたるまで幅広く使用されています。
チタンは非常に強度が高い金属で、アルミニウムの3倍程度、鉄の2倍程度の強度を持ちます。高強度と評されるステンレスと比較しても、比重に対しての強度はチタンのほうが上であり、質量を軽くできるのがポイントです。この強度を活かして、宇宙・航空分野ではエンジン部品や燃料タンクなどに使われています。
また、強いだけでなく戻る力(スプリングバック)にも長けており、その能力は鉄の2倍程度。少しくらい曲げても元の状態に戻る性質があります。
鉄の3分の2、銅の2分の1程度の重さしかないチタンは、軽量な金属として有名です。その軽さを活かし、ゴルフクラブをはじめとしたスポーツ用品や時計、メガネやカメラなど多くの分野で使われているでしょう。
また、同じく軽量な金属であるアルミニウムよりも重たいものの、強度や耐食性などの性能はチタンのほうが優れています。強度を損なうことなく部品を軽量化できるので、他の主要金属よりも加工しやすいのが特徴です。
チタンは不動態の酸化皮膜を表面に形成するので、他の金属よりも錆にくいという性質があります。特に塩素イオンに対する耐食性に優れており、海水に接触する環境で活躍する金属です。海水中での耐食性は、同じく高い耐食性を持つステンレスよりも優れています。
チタンでできた部品は長期的に高い品質をキープできるため、メンテナンス費用の削減や長寿命化に役立つでしょう。そのような理由もあり、宇宙・航空機材料として積極的に使用されています。
チタンは人体に悪影響を及ぼしにくい金属で、アレルギーが起こりにくいうえ有毒性もありません。なぜなら、チタンはたとえ傷ついても酸化皮膜を瞬時に形成できるため、アレルゲンであるイオンがほとんど発生しないからです。
そのため、金属アレルギーを持つ人でも安心して使用できるアレルギーフリーのアクセサリーにはチタンが用いられている場合があります。また、医療用の道具や人工関節など体内に埋め込む器具にも使われています。
チタンは、全金属の中でも5本の指に入るほど埋蔵量が多く、資源的にはかなり豊富です。しかし、原材料であるチタン鉱石から中間材料をつくる際に、還元・真空分離を行う「クロール法」を採用しなければなりません。この精錬方法には膨大なコストがかかるため、その分他の主要金属よりも価格が高いというデメリットがあるのです。
なお、チタンと同じく強度の高いステンレスと比較して、重量比で10倍程度の価格差が生じます。
チタンの持つ優れた強度は、部品としてのメリットにつながるものの、加工の際にはデメリットになり得ます。チタンのようにあまりにも強度の高い金属は、プレス形成・溶接・切削といった加工が難しくなります。このように加工の困難な金属は「難削材」と呼ばれ、特徴に合わせた加工方法の採用と高い技術が必要に。企業によってはチタン専用の工具を有しており、なかなか安易に扱える金属ではないことが分かります。
チタンの切断加工では、「ワイヤーカット加工」や「レーザー加工」が採用されます。ワイヤーカット加工は放電加工の一種で、ワイヤー線に電流を発生させ、金属を溶かしながら糸鋸のようにカットしていく方法です。一方、レーザー加工は光を一点に集めて金属に照射し、その熱で金属を溶かして加工する方法を指します。
これらの非接触加工は硬度の高いチタンに有効ですが、レーザーの反射によって機械が壊れる恐れがあるので、細心の注意が必要です。
チタンの切削加工では、「マシニングセンター」や「ドリル加工」、「汎用フライス加工」などが採用されるケースがあります。その中でもマシニングセンターは、ものづくりの現場で広く用いられている方法でしょう。
しかし、チタンは難削材であり熱伝導率が低いので、上記のどの方法を採用しても切削加工時に工具が蓄熱して寿命が短くなる恐れがあります。また、他の金属よりも耐摩耗性が低く、チタンワークの焼付きが発生する可能性もあるでしょう。
チタンの部品加工において難しいとされているのが溶接です。活発な金属であるチタンは、いくら低温で溶接しても水素や酸素と反応し、溶接を行った部分が脆化してしまいます。そのため、チタン溶接を実施する際には、シールドガスを使って溶接部分が大気に触れないようにするのが重要です。
また、他の金属との溶接の場合は、金属間化合物が生成されるので直接溶接は難しいでしょう。他の金属との接合をする際は、ロウ付けを採用するのが一般的です。
チタンの曲げ加工では、主に「プレス加工」または「密着曲げ」が使用されます。鉄の2倍程度の強度を誇りスプリングバックも大きいことから、「曲げ加工は難しいのでは?」と考える人も多いかもしれません。しかし、チタンは塑性異方性(r値)が非常に大きく、簡単に曲げることができるのです。
とはいえ、「純チタンか合金かのチェック」「ロール方向の確認」「スプリングバック対策」といった3つのポイントを意識しなければ、高品質な加工はできないでしょう。
先にも述べた通り、チタンは難削材と呼ばれる金属です。チタンを切削する際に発生しやすいトラブルには、工具の摩耗や加工剤の変形、切りくずの発火などが挙げられます。特に、熱伝導率が小さく活発な金属であるため、切削部の温度上昇による工具の摩耗量の増加はよくあるトラブルです。
これらのトラブルを減らすためには、「切削速度を落とす」「切削油を使った冷却」「適性工具の選定」「適性工作機械の選定」などが有効でしょう。
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