このページでは、スペシャルメタルズ社(旧インコ社)の開発したニッケル主体の超耐熱合金「インコネル」について、素材の特性や加工法、インコネルのような難素材を加工する際のポイントなどをまとめて解説しています。
インコネル(Inconel)とは、スペシャルメタルズ社(旧インコ社:International Nickel Company)が取り扱っている商品名であり、ニッケルを主体として鉄やクロムなどを配合した超耐熱合金です。耐食性と耐熱性に優れたインコネルは原子力発電所や火力発電所、航空宇宙開発業界など重要な分野や製品、設備などに使われており、インコネルは厳しい腐食環境や激しい超高温域といった場面でも利用メリットを発揮することができます。
インコネルはおよそ1千度という高温域に達するまで、優れた耐食性を保っていられる点が特徴です。一般的に、金属は高温下に長時間置かれていると溶けたり変形したり、あるいは酸化(腐食)しやすくなっていきます。しかし、インコネルは例えば650~900度超の温度下で50時間以上放置されていても、劣化したり腐食したりといった変化が生じにくくなっています。
そのためインコネルは高温環境で使用される金属素材として様々な場面で活用されます。
高温下にさらされることでクロム炭化物が析出してクロム濃度が低下し、腐食しやすくなる現象を「鋭敏化」と呼びますが、インコネルでは鋭敏化が比較的起こりにくい点が特徴です。
また、ニッケルやクロム、モリブデンといった各種金属を融合された結果、幅広い腐食環境においても耐食性を発揮することがポイントです。
海水や淡水、酸性・アルカリ性、水素や一酸化炭素など通常の金属では腐食しやすくなる条件にあっても耐食性が保持されます。
インコネルには配合されている成分によって複数の種類があります。
インコネル600は高温下での耐酸化性に優れた素材です。塩素イオンによる応力腐食割れ感受性が高く、酸化性や還元性の有機酸に対して幅広く耐性を持っています。
また、アルカリ性の環境においても耐食性に優れており、特にアンモニアに関しては完全耐食性を有することが特徴です。
隙間腐食や粒間腐食、孔食などに対しての耐性に優れている素材です。高温域においても優れた疲労強度を備えており、厳しい環境で耐久性を求められる場面で使用されています。
例として、インコネル625は原子力廃液処理装置や超臨界水装置、公害防止設備、海水用部品などに活用されています。
焼き鈍し状態における製造加工特性に優れており、疲労強度や引張強度、クリープ破断強度にもメリットを得やすい素材です。700度までの高温環境における強度が高く、耐酸化性に関しては1千度まで保持されます。
高温下で耐腐食性や孔食に優れている上、極低温環境においても機械的特性低温に秀でており、アーク溶接などを行った後に割れるリスクを低減できます。
700度までの耐酸化性や耐食性、引張強度、耐ヘタリ性に優れている析出硬化型のニッケル・クロム合金です。極低温の使用も不安がありません。
原子炉部品や耐熱スプリング、ガスタービン、圧力容器などに使われており、重要施設から身近な環境まで幅広く利用メリットを追究していけることがポイントです。
インコネルは超耐熱合金として知られている素材ですが、高温下だけでなく低温下でも耐食性や耐久性などに優れています。そのため、幅広い場面で活用メリットを検討できることが重要です。
超高温域にもなり得る原子力発電所や火力発電所関連で使用されていたり、厳しい低温環境での使用が珍しくない航空宇宙業界において使用されていたり、その用途は様々です。
反面、それだけ強度や耐性に優れている素材だからこそ、必要な加工を施すには相応の条件や技術が必要となります。
端的に言って、インコネルは金属加工を施しにくい難削材です。インコネルの加工が難しい理由には複数のものが挙げられます。そのため、加工目的によっても注意すべきポイントが少なくありません。
耐熱性に優れているインコネルは熱伝導率が悪く、金属加工機などを使って切削加工をしようとする際の抵抗が大きくなっています。結果的に加工機や工具に熱が蓄積して、劣化や摩耗、破損のリスクを増大させます。
また、インコネルは加工硬化の起こりやすい金属であり、加工硬化で製品強度を高められますが、加工するたびに加工性が悪くなっていくこともポイントです。
耐熱性や耐食性に優れたインコネルは、基本的に溶接加工における加工性も低くなりがちです。
電気抵抗率が大きいためステンレスより抵抗溶接をしやすいものの、難易度は低くありません。アーク溶接は可能ですが、析出硬化型など素材によっては溶接後の熱処理が必要です。
電子ビーム溶接は熱影響部が小さいため、溶接後の熱処理が比較的容易となります。
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インコネルのようにメリットが多いものの加工が難しく、特殊な素材はそもそも一般的な部品加工会社や金属加工会社で対応できないケースもあり、適切な業者の選定までまとめてアウトソーシングできる加工部品調達会社は心強い味方となるでしょう。
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