プリハードン鋼は金型材として活用される鋼材であり、あらかじめ熱処理が施されているといった特徴を持っています。このページでは、プリハードン鋼を部品加工に用いる際のメリットやデメリット、プリハードン鋼の特性などを解説しています。
プリハードン鋼は金型用の材料として使われる鋼材の中でも、あらかじめ中程度の焼き入れ処理が行われており、加工後の熱処理の工程を省略してコスト調節などを行える点が特徴です。
プリハードン鋼には高硬度と切削加工性の両方が同時に優れているというメリットがあり、さらに熱処理を重ねることで一層に硬度を高められるといった特徴もあります。ただし一部のプリハードン鋼は再熱処理による硬度追求が行えないなど、実際の活用時には注意すべき点も少なくありません。
プリハードン鋼には複数の種類が存在しており、それぞれ素材としての性質やメリット・デメリットに差があることも重要です。
プリハードン鋼のメリットとして、まず高い硬度を有していながら切削加工性に優れており、切削加工を行いやすい点が挙げられます。
素材として購入した時点で熱処理による硬度向上が施されており、改めて熱処理加工をするといった工程やコストを節約できることもメリットです。また、必要に応じて再熱処理をすることで一層に硬度を高めていくといったことも可能です。
その他、複数のメーカーから様々なプリハードン鋼が提供されており、目的に応じて使い分けられます。
熱処理によって高硬度を獲得しているプリハードン鋼ですが、実際には硬度に限界があり、極端に硬い素材はプリハードン鋼として市販されていません。加えて、すでに熱処理が行われており、再熱処理によって硬度を追求しようとしても限界があることも無視できません。また、そもそも再熱処理が行えないプリハードン鋼も存在しており、再熱処理を行えるプリハードン鋼かどうか事前にきちんと認識しておくことが求められます。
複数の種類があるプリハードン鋼だからこそ、ニーズに合わせた素材選びが必要になることはデメリットとして考えることもできるでしょう。
プリハードン鋼の特徴として、JIS規格によって製品の性質や含有成分が定義されておらず、メーカーごとにそれぞれ複数の種類が販売されていることが挙げられます。
そのため、「プリハードン鋼」と一口に言っても実際にはメーカーや製品ごとの特性をきちんと把握した上で活用法を比較検討することが重要です。
プリハードン鋼には以下のような種類があります。
大同特殊鋼から販売されているSCM系プリハードン鋼の1つであり、プラ型向けのプリハードン鋼として鏡面仕上げ性や溶接性、被削性、シボ加工性などに優れている点が特徴です。納入時の硬度はHRC37~43はできず、また時効硬化性を持っていることから再熱処理ができないことも特徴です。ただし切削加工を行いやすい点はメリットといえるでしょう。
NAK55と似ているプリハードン鋼であり、鏡面仕上げ性やシボ加工性、被削性、溶接性、そして耐摩耗性に優れているといった点が特徴です。納入硬度はNAK55と同様にHRC37~43であり、さらに時効効果性を有しているため再熱処理が行えません。
NAK80はNAK55よりも靱性に優れており、被削性に劣っているものの精細な鏡面仕上げを行うことができます。
溶接性と被削性の両方に優れているプリハードン鋼であり、窒化特性に優れている点も特徴です。鏡面仕上げ性に優れており、プラスチック金型やプレス金型、自動車部品、家電など様々な製品や部品の材料として使われています。
汎用金型の製造に適しているプリハードン鋼であり、硬度が高い上に被削性にも優れている点が特徴です。そのため切削加工を行いやすい特徴から「快削プリハードン鋼」と呼ばれることもあります。納入硬度はHRC37~41です。
鏡面仕上げ性と耐食性において優れた性質を有しているプリハードン鋼であり、プラ型向けの素材として活用されます。納入硬度はHRC29~33とNAK80やHPM1よりも劣っていますが、再熱処理によって高度を高めることが可能です。
プリハードン鋼の中でも耐食性に優れている素材であり、プリハードンステンレス鋼としてプラスチック金型製造の材料として活用されています。納入硬度はHRC27~35となっており、耐摩耗性や耐食性、鏡面仕上げ性に優れています。
プリハードン鋼のメリットかつ特性として、高硬度と切削加工性の両方が高いという点が重要です。そのため、金型用の材料として使用されており、プラスチック金型やプレス金型、鍛造金型など色々な金型を製造する材料に使われています。
熱処理が事前に施されているため生産工程を短縮して低コスト化を追求するといったことも可能であり、生産コストや納期を短縮して量産体制を構築したいといったニーズにおいても利用されることがポイントです。
種類によっては精密加工にも適しており、精密機械の部品を製造するために用いられることもあります。
切削加工性に優れたプリハードン鋼ですが、一方で硬度や耐食性を追求した結果、プリハードン鋼の中には切削加工性がそこまで高くない素材があることも見逃せません。
特にプリハードン鋼はJIS規格によって定義づけされていないため、メーカーごとの製品展開や製品ごとの特性などをしっかりと把握した上で活用するプリハードン鋼を選択することが必要です。
プリハードン鋼は切削加工性や硬度、耐食性など様々な特性を同時に追求されている素材であり、金型製造を筆頭に様々な用途や分野で活用されています。またメーカーごとに複数の製品が提供されており、選択肢が多いことも特徴です。
一方、製品ごとに特性が異なるため、プリハードン鋼を使った部品加工ではあらかじめそれぞれの適性や特徴を把握しておかなければなりません。
加工部品調達会社であれば素材の調達や厳選、適した加工業者の選定や交渉、品質管理などをまとめてアウトソーシングできるため、プリハードン鋼の加工でも安心感があります。
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