SCM435(クロムモリブデン鋼)とは機械構造用合金鋼の1種であり、炭素の他にクロムやモリブデン、マンガンといった金属元素が添加されている鋼材です。このページでは、部品加工の素材として利用されているSCM435について解説します。
SCM435とは「クロムモリブデン鋼」とも呼ばれる金属素材であり、機械構造用合金鋼の1種として知られています。また一般的な通称として「クロモリ鋼」や「クロモリ」と呼ばれることもあり、クロム鋼(SCr材)にモリブデンを添加することで焼き入れ性が高められている点がポイントです。なお、「SCM435」の「SCM」はそれぞれ「鉄(Steel)」、「クロム(Cr)」そして「モリブデン(Mo)」を意味しています。
SCM435は焼き入れをしやすい金属素材であり、靱性が高く材料が割れやすいといった特徴があります。
SCM435のメリットとして、鋼材として流通している金属素材の中では比較的コストを抑えられているということがあげられるでしょう。また汎用性の高い金属素材であり、強度や硬度に優れているため表面の傷や摩耗にも耐久性があるという点はメリットです。
クロムを含んでいるため耐食性も有しており、ステンレスに及ばないものの錆びにくい素材であることもポイントです。また適度にしなりを持っているため振動を吸収しやすくなっています。
SCM435とは別に「SCM435H」として流通している金属素材があります。これは「焼入性(Hardenability)」を示す「H」が名称に付けられている鋼材であり、焼き入れ性が保証されている点がポイントです。
SCM435HはJIS規格で規定されている焼入性バンドおよび焼入性の指定方法において、HRC(ロックウェル硬さ)の値が保証範囲内に収まっているSCM435材ということを意味しています。言い換えればバンド幅さえ保証されていればSCM435Hとして認められるものであり、SCM435と比較して成分値の範囲が広いという点が特徴です。
SCM440もまたクロムモリブデン鋼の1種であり、SCM435とSCM440との違いは主として炭素含有量にあります。
SCM440は炭素含有量が0.38~0.43%となっており、炭素含有量が多い分、SCM440の方がSCM435よりも強度や硬度を確保しやすいという点がポイントです。
そのためSCM435よりも強度・硬度を高めつつ、加工性を維持したいと考えるような場合には、SCM435でなくSCM440を素材として検討するといった流れになります。
SCM435の化学成分はJISにおいて下記のとおりに規定されています。
SCM435は靱性や硬度・強度といった機械的性質に関して比較的高い数値を示す鋼材であり、焼き入れ性にも優れています。ただし、合金鋼として複数の金属元素をJIS規格の規定範囲内で添加されているため、添加量によって鋼材としての特徴や性質に差が生じやすいことは見逃せません。
靱性が高いため割れや歪みに強いとされている反面、理想とする性質を確保するにはあらかじめ素材特性を正しく把握しておくことが重要です。
SCM435は様々な用途に使われる金属素材であり、車の内燃機関の部品や航空機の脚部、ボルトやナットといった部品の素材として利用されることもあります。またしなりがあって振動吸収性にも優れていることから、SCM435は自転車のフレームの材料としても利用されます。
高温下でも安定した特性を有しているため、車のエンジンなど強い熱にさらされる環境で使われる部品の素材としても有効性があることがポイントです。
クロムによる耐食性のおかげでボルトやナットといった部品のサビを防げるのも強みの1つですが、特に優れた耐食性を求める場合は他の素材を検討することも必要です。
コストが比較的安価なのでコストパフォーマンスを高めたい際にも活用されます。
SCM435は約500度という高温下でも加工しやすく、物質の強度や硬度を高めやすいという点が重要です。焼き戻しにおける抵抗性や対抗性が高く、脆性も低く抑えられるため金属の安定性を保ちやすく加工性に優れていることは魅力です。
表面処理によって外観の美しさを高めやすくなっている他、溶接加工に対する適性も高くなっています。そのため、美観を維持しつつ強度や硬度をキープしやすい場合などにSCM435が採用されることも少なくありません。
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