SUS440C

このページでは、ステンレスの中で最も硬いとされる「SUS440C」について詳しく解説しています。様々なステンレスの種類がある中で、SUS440Cの特徴やメリット・デメリットなどを把握した上で適切な素材を比較検討していきましょう。

SUS440Cとは

SUS440Cとはマルテンサイト系のステンレスの1つであり、色々なステンレスの中でも、熱処理を行った後のステンレスとして最も硬度のあるステンレスとされています。「硬くて錆びにくい」という性質が特徴です。

また、最も硬度のあるステンレスだからこそ、JIS規格として規定されているステンレス鋼の中で「最も加工が困難なステンレス」とされている点も重要なポイント。これにより、SUS440Cの加工や商業利用には十分な加工ノウハウを有する専門業者へ委託することが必要となっています。

なお、SUS440Cの切削性を高めたSUS440Fといった素材も存在します。

SUS440A・SUS440B・SUS440Cの違い

SUS440Cの他にも、SUS440系として複数の種類が存在しており、それぞれの違いの理由は主として炭素の含有量になっていることです。なお、SUS440Cが最も炭素含有量が多く、硬度が高くなっており、言い換えれば炭素の量によってステンレス鋼としての硬さが変わっていると考えられます。

SUS440Cは一般的に流通しているステンレスであり、入手することもそれほど困難でありません。しかしSUS440AとSUS440Bについては流通量が少なく入手が難しい場合もあります。

SUS304とSUS440Cの違い

SUS304はクロムやニッケルを含有するステンレスであり、SUS440Cと比較してさらに錆びにくく耐食性にも優れていることが特徴です。一方、硬度の面ではSUS440Cの方が優れており、ステンレスの特徴である「錆びにくさ」を追求したい場合はSUS304、硬度の高さを活用したい場合はSUS440Cと使い分けることができます。

SUS440Cの化学成分

SUS440Cの化学成分はJISにおいて下記のとおりに規定されています。

参照元:JIS G 4303:ステンレス鋼棒

SUS440Cの硬度

SUS440Cは炭素含有量が0.95~1.20%と、炭素を多く含んでいるステンレスであり、JIS規格として規定されているステンレス鋼の中において、焼き入れ後の硬度が最大とされている素材です。そのため、非常に硬い性質を活かした製品や部品に適しているとされ、例えば何度も使われる金型の素材としてSUS440Cは優れた適性を有しています。

反面、硬度が高いため切削加工などの金属加工を行いにくく、難削材として認められていることも特徴的です。

SUS440Cの耐食性

ステンレスの耐食性や耐候性を考える上で、重要になる元素がクロムです。SUS440Cはクロムを16.0~18.0%含有しているステンレスであり、一般的な鉄や炭素鋼などと比較して優れた耐食性を誇ります。

クロムがステンレスの耐食性を挙げる理由は、表面に析出したクロムが大気中の酸素と反応して酸化皮膜を形成し、ステンレスの表面がその皮膜によってカバーされ空気と遮断されるからです。

ただし、同じくステンレス鋼として知られる他の素材と比較すれば、オーステナイト系ステンレスであるSUS304などに耐食性は劣ります。

SUS440Cの被削性

SUS440Cがステンレスの種類において最大の硬度を獲得するのは、焼き入れ後の特性です。言い換えれば、焼き入れを行って熱硬化を施す前の段階であれば、フェライト系ステンレスと同程度であり、むしろオーステナイト系ステンレスと比較して良好となっています。

しかしSUS440Cは焼き入れを行ってしまうと一気に被削性が悪くなって加工困難な素材になってしまうため、基本的には焼き入れ前に最終的な形に仕上げておくことが大半でしょう。

SUS440Cの用途

SUS440Cはとても有用な素材であり、焼き入れ後の硬度を活かして金型の製作に利用されます。また、ベアリングのように長期的な加重による影響を受けやすい部品についても、耐摩耗性や硬度に優れたSUS440Cが用いられます。

包丁やカミソリ、医療用メスといった鋭利な製品にも、防錆性や高硬度といった特性を活かして活用されていることも特徴のひとつです。

その他にもポンプやノズル、シャフトなど強度や耐久性が重視される機械部品の素材として一般的。ただし前述したようにSUS440Cは加工が難しいため、加工には信頼できる業者を見つけることが前提です。

SUS440Cの部品加工の依頼は「加工部品調達会社」へ

ステンレス鋼は錆びにくく丈夫で、色々な用途に使いやすい素材で、「SUS440C」のように焼き入れ後の硬度が高くなる素材も存在します。

SUS440Cは幅広い利用価値がありますが、メリットを追求するためには加工困難な条件でも問題なく対応してもらえる加工業者を見つけたり、適した素材調達を速やかに行ったりしなければなりません。

加工部品調達会社は単に部品の素材を調達するだけでなく、適切な加工業者を選定して交渉し、業務管理や進捗管理、さらには納品部品の検査もまとめて代行してくれます。クライアントのニーズに合わせた加工部品を安心して用意してくれるパートナーとして、長く付き合える信頼性の高い会社を選びたいものです。

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